diary

Thank you Mr. Jobs. You changed my life.


今朝方Tam Tamのサイトに松本隆、筒美京平先生について書いた直後にジョブズ逝去の報が飛び込んできてかなり動揺しております。

僕がmacintoshと出会ったのは1990年、新入社員として昔働いていた会社に入った年でした。
当時はまだMS-DOSの時代で、コマンドプロンプトでかちゃかちゃやってた頃。フロッピーも5インチで、ようやく3.5インチが出始めた頃。
そんな時に開発の竹内さんという方が、「石本くん、これちょっとみてごらんよ」と言って机の上の見たことも無いちっちゃなパソコンを指さしました。モノクロの小さな画面の右下にゴミ箱があって、そこにファイルを捨てるとセサミストリートのキャラが出てくる!!
「こ、これなんなんですか?」「アップルのマッキントッシュっていうパソコンなんだよー」
その年の冬、初めて貰ったボーナス50万と、親に10万借金して、会社のデベロッパ価格でそのパソコン-macintosh SE/30-を購入しました。

その頃のアップルコンピュータジャパンはそれはそれは小さい会社で、当時晴海で行われてたビジネスショウのブースで社員募集してたり、macintoshなんて秋葉原の小さな専門店でしか扱ってなかった。
でもその専門店の人達が皆熱くてねぇ。行けばずうっとmacの話聞かせてくれるんですよ。そういうハードコアな人達(エバンジェリストと言ってましたね)に支えられて、マニアックなパソコンとしてmacは位置づけられていたのです。主にクリエータが使う通好みのマシンとして。

僕が当時働いていたのはPC用のビジネスソフトを開発/販売する会社で、そこで最初は営業をやっていました。そうこうする内に営業企画部門に異動になり、そこで初めて担当したのがmac用の日本語入力ソフトでした。
ことえりがでる前、まだ漢字Talkで動いていた頃、日本語入力ソフトはサードパーティが作っていたんです。VJE、EG Bridgなどなど。うちの会社はMS-DOS、windows用に日本語入力ソフトを開発していて、そこそこシェアもあったんですよ。で、macのOSが漢字Talkからmac OSに変わるタイミングで「移植するか」という事になり、その担当を任されたんですね。社内でずうっとmac、mac言ってたからだと思うんですが僕が。

今思うとありえないくらいの熱量を注ぎ込んでやってたなぁと思います。発売日、心配で心配で秋葉原のmac専門店に行ったら、丁度レジの前に平積みになってたんですよ。で、お客さんに「ずうっと楽しみにしてました」なんて声かけられてねぇ….。思わず店出てうれし泣きしてました。

音楽制作、パソコン通信、なんでもSE/30のモノクロ画面でやってました。イラストレータとかも動かしてたもんなぁ、無茶だったよなぁ。でも触ってるのがホント楽しいんですよ、今もですけれど。

macが好きになるにつれ、自然と「これを作った人はどんな人なんだろう」という事にも興味が向くわけです。で、ジョブズについて色んな本を読み漁りました。
彼はビジネスマンでもあるけれど、やっぱり理想家、野心家なんですよね。有名なIBMパソコンをぶっ壊すmacintoshのCMありますが、あれに全て集約されています。既存の権力に反抗する(アンチIBM、アンチマイクロソフトだったんですよ、今の若い子は知らないかもだけど)、新しい価値観の創造、そしてなによりも面白いことが好き、というワクワク感。

(あぁ、もう駄目だ….最後のジョブズの得意満面の笑顔を見てるだけで涙が出てくる….)

でもそんなジョブズも一度は自分の作ったアップルという会社を追い出されてしまいます。その後カラークラシックとか、performaとか、なんか色々やるんだけどことごとくはずしていって、挙げ句の果てに互換機とかまでやりだす始末。どんどん業績も落ちるし、どうなっちゃうんだろうと思いつつ、でもずうっとmacを使い続けてたんですよねぇ。

1998年、ジョブズがアップルに復帰して最初の作品(あえて製品ではなく作品と呼ぶ)iMacが発表されました。ジョブズが復帰、というニュースを初めて見た時は思わず会社のデスクで「やった!!」と叫んでしまった。このiMacの発表会、知り合いのPC雑誌編集者に頼んで潜り込ませてもらったんですよ。壇上にあのボンダイブルーのiMacが登場した瞬間、大袈裟じゃ無くて涙が止まらなかったです。「ジョブズが帰ってきた、僕の好きだったアップルが帰ってきた!!」という思いで胸が一杯になりました。その晩会社のmac好きと飲みまくって泣きながら「アップル最高やー、ジョブズやっぱり最高やー」と大騒ぎしたっけ。自分のヒーローが、色々つらいこともあったけどその何倍もかっこよくなって帰ってきてくれた。SE/30から8年、ずっとアップル好きで良かった。そんな喜びだったんですよねぇ。

数日後仕事を途中で抜け出し、ガラガラ持って秋葉原まで行って、ボンダイiMac乗っけてまた会社に戻ってきたのは言うまでもありません。

その後の快進撃は皆さんご存じの通りです。ほんと色々ありますが、なかでも一番エポックメイキングだったのはiTunesというソフトウェアじゃないかなと。
あれが現在に至るまでのアップルの根幹を成しているわけです。全てのデバイスのハブとして機能するソフトウェア。音楽も、アプリも一括管理できる。しかもwindowsでも動く。
このwindowsで動くっていうのが凄いですよね、昔なら考えられなかった。理想の実現の為には拘りを捨てて突き進むという、凄くタフになったジョブズがそこにはいました。

iPhoneが発表になった時、「ふーん」って感じだったんですよ。「電話かぁ」みたいな。でも浅はかでしたね、そういうことじゃなかったんですよね。ジョブズはあれでニュートンに落とし前つけたんですよね。
1990年当時「ナレッジナビゲータ−」という単語がコンピューターの理想型として良く語られていました。あれから20年、iphone、ipadなんかを見ていると漸くその世界が実現してきているなぁという印象を強くします。彼はずうっと諦めないでそこを目指してきた。倒れても復活し、理想の実現の為には拘りも捨て、あらゆる手段を講じて前に前に前進してきた。

iOS5になって、iTunesと切り離されてデバイス単独で動くようになり、これからもっともっともっともっと、やりたい事がいーっぱいあったろうになぁ。
でもあの有名なスピーチのように、自分の人生を生ききった、と思っているのかな….。

貴方がいなくなってとても寂しい。
いつも目の前にあった明かりが無くなってしまったような不安に駆られます。

「心のままに信じて進め」

ずっと忘れないようにします。


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