- 2008年3月13日 13:56
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「今のpasadenaって限りなく歌ものに近いと思うんですよ。」
●それをスタイルやアプローチじゃなく、イシモトさんが“何がやりたいのか”って突き詰めたところが『encontro』というアルバムっていうのが僕の解釈なんですよ。初期のpasadenaっていうのはミニマムな表現に対する意識っていうのもあったと思うんです。最小限の人間で音をコントロールするっていう感じがあった。でも、その表現がバンドセットになり、今回のアルバムで言えばスティール・パンやヴァイオリンも入ってどんどん音も増えていっている。それもメソッドやスタイルから解放されて、自分が作りたい音楽を追求していくって感じにシフトしていっている感じがするんですよ。
イシモト:確かに以前は何でもかんでも自分でやるのがいいと思っていたんだけど、この作品はいろんな人と一緒にやってみたいっていうのはあったよね。やっぱり自分が表現できないことは自分の作品には入れられなかった。だけど、この何年かでいろんな人と出会ったりしたこともあって、全部を自分でやるっていう感じは無くなっていた。『encontro』についてプロデューサーみたいな作品だって事を桑村さんが言ってたけどさ、そういうのはちょっとあったかもしれない。●自分の技で自分の世界を表現するミュージシャンというより、視点がプロデューサーというか、コンポーザーって感じがします。
イシモト:そうだね。それと打ち込みとかサンプリングで曲を作るんじゃなくて、生楽器の人にやってもらいたかった。第一、曲に合わないんだよね。今回の『encontro』に入ってる曲には、そういうのが合わない。●今、曲を作るってことを考えると、そうなっちゃったって感じですか?
イシモト:そうだね。このアルバムを作り始めの頃はバンドサウンドでアルバムを作りたいとは思っていたんだけど、ゲストミュージシャンを入れるって発想は無かったからね。jimanicaと藤川君と3人で作ろうと思っていたんだけど、段々と制作を進めていくなかでいろんな音を入れたくなっていったんですよ。あと最近で変わってきたところが、今でもライブにはPCを使ってるんだけど、昔はPCにいろんな素材や電子音が入ってたんだよ。でも今はギターのループしか入ってないのね。だから今の自分のなかには電子音を使ってサウンドデザインするっていう意識が無いんだろうね。●確かにそう思います。
イシモト:今もなんでPCを使ってるのかっていうと、それは要するにギターの絡みをやりたいわけですよ。ギターをループさせて、ライブでは自分のギターでそれに絡むみたいな(笑)。僕が4人いれば全然、生でやりたいんだけど、自分は4人もいないからね。なかなか僕が“バッチリ!”“最高!!”って思うギターを弾いてくれるギタリストもいないからさ。じゃあパソコンを使って“イシモト1”“イシモト2”みたいなのを作って、さらにライブで生のイシモトが絡むみたいなね(笑)。だから今回のアルバムでもPCを使ってる曲は何曲かあるけど、ギターの音とキーボードくらいしか使ってないんですよ。●このアルバムでは程島さん(ex.poodles)がギターで参加してますけど。
イシモト:程島君は凄くいいギターを弾く!●特に5曲目に収録された「windpark」とか良いですよね。この曲を聴いていると、イシモトさんと違う人が弾いてるっていうのがわかります。
イシモト:あ、わかる?●わかる、わかる。イシモトさんが弾くアコギと、程島さんが弾くアコギの質感って全然違いますよ。
イシモト:確かに違うよね。全然違うと思う。最近は程島くんに入ってもらってライブをする事も多くなってきたんだけど、ライブをやればやるほど良くなってるよ。僕ももっと絡みたいと思うし。●イシモトさんの音の嗜好がレイドバックしているっていうところで、相性が良いギタリストなんだろうなって感じがしますね。
イシモト:そうねぇ…やっぱり古いロックとかを最近またよく聴くようになったんですよ。Bob DylanとかThe Bandとか。The Rolling StonesとかEaglesとかNeil Youngとかね(笑)。60年代とか70年代の王道の人達の音って、やっぱりいいなって思うんだよね。●TORNADOSの「telstar」をカヴァー曲を入れようと思ったのも、そういう最近のモードのなかで出てきたんですか?
イシモト:そうだね。まあ、カバー自体は結構やってて『woody guthrie』でもThe Beach Boysの『Pet Sounds』の曲がが入ってる。まあカバーはすごく好きなんで、doldrumsってユニットではカバー集も出してるしね。●でも最初は「telstar」のカバーを収録する予定はなかったですよね?
イシモト:うん。最初は7曲目の「noturno」と9曲目の「encontro」を繋ぐ時ために、ギターの即興を入れようかと思ってたんですよ。それは、これまでのように音を変調させたりする手法で曲と曲を繋ごうかなって考えていた。だけど、そういうのじゃ物足りなくなってきたんだよね。それで「telstar」のカバーを思い付いたんです。この曲を選んだって事にも意味があって、今は歌がないと全てインストって括られるわけだけど、ポストロック的なイメージが付いてくるじゃないですか。でも僕がやっているインストっていうのは、ポストロック的なインストじゃないんですよ。昔のThe Venturesみたいなサーフロックと一緒なんです。だから、それをちょっと明確に示しておきたいと思ったんですよね。今のpasadenaって限りなく歌ものに近いと思うんですよ。はっきりしたメロディーが真ん中にあって、それをギターで弾いているのは、自分的にはそれが一番上手く表現できるからなんです。だから感覚的には歌を作っている感覚が自分のなかではすごく強いと思うんだよね。●なるほどね。それはmaoからリリースしているfhishing with johnもギターのインストですけど、同じ感覚のような気がします。
イシモト:うん、多分同じだと思いますよ。彼には今回、ピアニカで参加してもらったんだけど、やっぱり同じような感覚でメロディーを作っていると思いますね。●「telstar」という曲も含め、この『encontro』は今のイシモトさんの発想というか、考え方が明確に出たアルバムになってますよね。
イシモト:うん、そうだね。ジャケットにしても、あまりこっちから細かく注文を出したわけじゃないんだけど、出来上がったものは音に寄り添ったものになったと思った。それはデザイナーさんも、そういうニュアンスを感じ取ってくれたのかなって思ったんだけど。●確かに『woody guthrie』と『One Point Five』のジャケットは、全然テイストが違いますもんね。
イシモト:でも、『woody guthrie』と『encontro』は同じ人だよ。●あ、同じ人なんですか?
イシモト:ただ『woody guthrie』の時とかは、こういう風にしてくれってすごく微細に注文を出したんです。でも今回のジャケットは“抽象的な絵がいいかなと思うんですけど”ってくらいしか言ってなかったんですよ。そうしたら、このジャケットの絵を描いてきてくれたんですよね。これを見た時に、沖縄に降りる時に飛行機から見える海の光景にすごく似てるなって思ったの。デザイナーさんはそんな所に行った事が無い人だから、本人は全然意図して描いてないんだよ。曲だけ渡して描いてくれたのが、これだった。図らずしもそうなったっていうのも面白いなと思ってるんですよね。
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